Classici giapponesi con furigana
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れもん
檸檬・ある心の風景 他二十編
Leggi 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) di Kajii Motojirō (梶井 基次郎) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 127.934 caratteri · 263 schermate
水平線を境としてそのあちら側へ滑り下りてゆく球面からほんとうに美しい海ははじまるんだ。君は言ったね。
布哇が見える。印度洋が見える。月光に洗われたベンガル湾が見える。現在眼の前の海なんてものはそれに比べたらラフな素材にしか過ぎない。ただ地図を見てではこんな空想は浮かばないから、必要欠くべからざるという功績だけはあるが……多分そんな趣旨だったね。ご高説だったが……
「――君は僕の気を悪くしようと思っているのか。そう言えば君の顔は僕が毎晩夢のなかで大声をあげて追払うえびす三郎に似ている。そういう俗悪な精神になるのは止し給え。
僕の思っている海はそんな海じゃないんだ。そんな既に結核に冒されてしまったような風景でもなければ、思いあがった詩人めかした海でもない。おそらくこれは近年僕の最も真面目になった瞬間だ。よく聞いていてくれ給え。
それは実に明るい、快活な、生き生きした海なんだ。未だかつて疲労にも憂愁にも汚されたことのない純粋に明色の海なんだ。遊覧客や病人の眼に触れ過ぎて甘ったるいポートワインのようになってしまった海ではない。酢っぱくって渋くって泡の立つ葡萄酒のような、コクの強い、野蕃な海なんだ。