Classici giapponesi con furigana
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れもん
檸檬・ある心の風景 他二十編
Leggi 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) di Kajii Motojirō (梶井 基次郎) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 127.934 caratteri · 263 schermate
そしてその情景はますます私に廃墟の気持を募らせてゆく。――天井の彼らを眺めていると私の心はそうした深夜を感じる。深夜のなかへ心が拡がってゆく。そしてそのなかのただ一つの起きている部屋である私の部屋。――天井に彼らのとまっている、死んだように凝っととまっている私の部屋が、孤独な感情とともに私に帰って来る。
火鉢の火は衰えはじめて、硝子窓を潤おしていた湯気はだんだん上から消えて来る。私はそのなかから魚のはららごに似た憂鬱な紋々があらわれて来るのを見る。それは最初の冬、やはりこうして消えていった水蒸気がいつの間にかそんな紋々を作ってしまったのである。床の間の隅には薄うく埃をかむった薬壜が何本も空になっている。なんという倦怠、なんという因循だろう。私の病鬱は、おそらく他所の部屋には棲んでいない冬の蠅をさえ棲ませているではないか。いつになったらいったいこうしたことに鳧がつくのか。
心がそんなことにひっかかると私はいつも不眠を殃いされた。眠れなくなると私は軍艦の進水式を想い浮かべる。その次には小倉百人一首を一首宛思い出してはそれの意味を考える。そして最後には考え得られる限りの残虐な自殺の方法を空想し、その積み重ねによって眠りを誘おうとする。