Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

Leggi 求婚三銃士 (きゅうこんさんじゅうし) di 佐々木 邦 (ささきくに) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.326 caratteri · 330 schermate

Aozora Bunko

「出歩いてばかりいて、内を外ですって。主人には私の苦心が分らないんでございます」

と丸尾夫人は立ちかけて喋り続けている。大谷夫人は差当り拝聴している外仕方がなかった。真に宣伝上手な奥さんだと思った。御主人の惚気まで言っている。官邸だの次官だの局長だのと気障の限りである。

「大谷さんの奥さまも始終お忙しいようでいらっしゃいますわね」

と橋本夫人は漸く大谷夫人へ話しかける機会を得た。

「はあ。私のは貧乏閑なしの方でございます」

「まあ/\。大変な御謙遜でございますこと」

「お前は貧乏性だから始終セカ/\していると主人が申します」

「矢張り花形でいらっしゃいますから、彼方此方で引っ張り凧になるんでございますわ」

「何う致しまして。丸尾さんあたりと違って、地味なものでございますよ。同じ凧でも、鳶凧かも知れません」

「まあ/\」

「それは御交際もありますけれど、私達の方は民間でございますから」

と大谷夫人は聊か思い知らせた積りだった。これが宜しくない。しかし丸尾夫人は一向に感じなかった。民間は官途に一目置くものと信じているから、大谷夫人の厭味を当然の卑下と認めて、御機嫌よく暇を告げた。