Classici giapponesi con furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Leggi 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 188.242 caratteri · 380 schermate
「あの男は美しい。姦夫のように美しい。絹のようなあいつの眼は、あらゆる女の着物を通して乳の下ばかりを眺めている。熟れた柘榴の実のような、紅いネバネバしたあいつの口は、淫らなことばかりを語っている。それがまた女には好もしいらしい」
「いいえいいえ違います。妾は大嫌いでございます。衣川式部! ああ厭だ! 妾は大嫌いでございます」
「おお、お前は大嫌いか。フ、フ、フ、フ、本当かな? しかし女と云うものは嘘をよく吐きたがるものだ。自分の一番好きな物を一番嫌いだと云いさえする。そのくせ一番嫌いな物と、ともすれば隠れて遊びたがる。……が、嫌いなら嫌いでもいい。やがて自然と解る時が来よう」
仮面の城主は立ち上がった。それからノロノロと歩き出した。さも大儀そうな歩き方である。
「水泡よ、俺に従いて来い。そうしてお前の部屋へ行こう」
戸を開けると廊下である。廊下は真っ直ぐに延びている。どっちを見ても人気がない。篝が両側に燃えている。篝の前を通る時だけ高く痩せた城主の影が、向こう側へ映る。そうして仮面が血のように赤く、焔のようにテラテラする。しかし、向こうへ通り過ぎると、中将の仮面は鉛色となり、影法師も姿を消す。