Classici giapponesi con furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Leggi 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 188.242 caratteri · 380 schermate
直江蔵人の館のある鍵手ヶ原も走り過ぎた。美貌な女の面作師月子の住んでいる人穴の前も風のように走り過ぎた。
やがて本栖の湖岸へ来た。
暁近い深い睡眠に未だ湖水は睡っていた。時々岸の蘆の間でバタバタと羽音を立てるのは寝惚けた鷭に違いない。風はぼうぼうと吹いていたが湖水の面は波も立たず、その一所に月を浮かべ、紫立って煙っていた。そうして例の濛気の壁が空に高く立ち上っていた。
その濛気の奥にこそ纐纈城はあるのである。
そうしてその城の一室にこそ仮面の城主はいるのである。
「兄上!」
と突然光明優婆塞は、湖水へ向かって呼びかけた。「まだあなたはこの私を憎んでいられるのでございますか。不幸なお方、不幸なお方!」
それは不思議な声であった。憎悪と憐愍とをこき雑ぜた――怒と悲との声であった。そうしてその声は水を渡り、濛気の壁を貫いて、纐纈城まで届きそうな大きい高い声でもあった。しかし返辞は来なかった。木精が返ったばかりであった。
「兄上、あなたは卑怯者です。いつも私の留守を目掛けて、掠奪においでなされます。教団には怨みはない筈です。信徒を憎むは不当です。それだのにあなたは信徒を殺し教団を破壊なされます。