Classici giapponesi con furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Leggi 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 188.242 caratteri · 380 schermate
ではない。神は「唯一」であり「一切」であり「宇宙」であるの故をもって、はじめて「神聖」と云われるのである。
仮面の城主の癩患は、世界唯一のものであった。最後に残ったその物であった。癩患はこの世に多かろう。しかし城主の癩患は、その悪性の点において、他に類例がないのであった。
仮面の城主は歩いて行った。
去年の草に溜っていた、夜露がパラパラと降りかかった。彼の両足は白い布で、隙間なくキリキリと巻き立てられていた。で寒くはない筈であった。
袍の光に照らされて、一間四方の空間が、彼を中心にして光っていた。ポッと明るい円光の中を、深紅の袍が焔のように燃え、前へ前へと行くのであった。
彼の歩みは「歩み」というより、むしろ彷徨というべきであった。否むしろよろめきというべきであった。
彼は左右へよろめきながら、前へ前へと進むのであった。
彼の着けている少将の仮面は、深紅の袍に照らされて、同じ色に輝いていた。額の辺りがテラテラと映ろい、今にもそこから血の滴を、ポタポタ足下へ落としそうに見えた。しかしその顔は無表情であった。ただ丈高い草の葉や、横へ突き出された木立の枝が、彼の行手を遮る時、あるいは可笑し気なあるいは悲し気な、幾筋かの陰影が付くばかりであった。