Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Leggi 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 188.242 caratteri · 380 schermate

Aozora Bunko

他ならぬ高坂甚太郎であった。

そうして女は月子であった。

「姉さん今日は」

と甚太郎は云った。「休ませて頂戴、疲労れてしまった」いかにも疲労れたらしい声であった。

「おはいりなさい。さあ坊や」

で、甚太郎は中へはいった。

「坊はどこからいらしったの?」また月子は筵へ坐った。

「俺ら道に迷ったんだ」甚太郎は岩へ腰かけた。

「それはそれは、可哀そうに」

だが月子には不思議であった。魑魅魍魎猛獣毒蛇、剽盗の巣食っている富士の裾野を、どうしてこんなちっぽけな子が、無事に旅して来られたのだろう?

だが甚太郎にも不思議であった。魑魅魍魎猛獣毒蛇、剽盗の巣食っている富士の裾野に、どうしてこんな若い女が、無事に住んでいられるのだろう。

甚太郎の来訪は月子にとっては、弟に逢ったほどの喜びであった。

月子に逢ったということは甚太郎にとっても喜びであった。

姉に逢ったほどの喜びであった。

で、二人は仲よくなった。

「鳥は捕れて? え、坊や?」

「捕ろうと思えばいくらでも捕れる。だが俺らは捕らねえのさ」

「おやどうしてなの? 捕ればよいに」

「捕る物が他にあるからさ」

ここで甚太郎はニヤリと笑った。