Classici giapponesi con furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Leggi 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 188.242 caratteri · 380 schermate
「しかも苦しみは続くのだ。彼奴が死ぬか、俺達が死ぬか、一方の死なないその間は、いつまでも苦しみは続くのだ。ああ永い間苦しんだなあ」
清水の滴たる音がした。油の煮える音がした。龕の油が煮えるのであろう。
隣室から月子の声がした。
「寝台へお伏せりなさいまし。お顔を上へ……真っ直ぐに」
園女の声は聞こえなかった。寝台の軋る音がした。
源之丞は茫然と眼をあけた。そうして部屋の中を見廻わした。
「こういう所にも住む人がある。静寂、暗黒、非人情! だがこれもいいかもしれない。恐らく悩みはないだろう」うっとりと仮面へ眼をやった。「まるで生首でも並んでいるようだ」
隣室から月子の声がした。
「心がお顔に現われます。悲しいお顔を造ろうとなら、努めて悲しいお心持ちを、お持ちにならなければなりません。……妾がお話し致しましょう。悲しい悲しい物語を。……」
ここで月子の声が絶えた。
源之丞は両手の指を見た。龕の灯が幽かに爪を照らした。
「爪に筋がはいっている。恐怖に衰えた人間の、不健康の証拠がここにある」手を裏返して甲を見た。「艶のない手だ、膏気のない手だ、青い筋ばかりが這っている」