Classici giapponesi con furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Leggi 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 188.242 caratteri · 380 schermate
信玄の顔は大きかった。そうしてひどく下膨れであった。顎などは二重にくくれていた。眉は太くかつ長くピンと尻刎ねに刎ね上がっていた。眼はいわゆる尋常であったが、眼尻に恐ろしく皺があり、眼の上下にも皺があったので、老人染みて見えるのであった。鼻下に太い髯があったが先がベロリと垂れているのでどうも大いに景気が悪い。唇は厚くどす黒い。髯を取ると彼の顔は大分家康に似て来るのであった。もっとも似ているのは顔ばかりでなく、老獪の点もよく似ている。
顔が大きく肥えているように信玄の体も肥えていた。頸などは文字通り猪首である。大黒様のように垂れた耳。剃髪しても頬髯だけは残し、大いに威厳を保っている。胸には濃い胸毛がある。全体の様子が胆汁質で、脂っこくて鈍重である。女に惚れられる玉ではない。諏訪家の姫を孕ませて絵にあるような美男の殿御勝頼様を産ませるような、そんな粋人には見えないのであった。
さすがは名家威厳はある。それも鬱々たる威厳であって、こう黙って考えていると陰々として凄いほどである。
「右衛門、追手は出したろうな?」
ややあって信玄はこう訊いた。
「四方八方手を分かち、追手を出しましてござります」