Classici giapponesi con furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Leggi 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 188.242 caratteri · 380 schermate
「ご覧あそばせ」
と一つの箱を、月子は棚から取り下した。
「…………」無言で受け取った陶器師は、またそこで躊躇おうとする。
「どれ灯火を掻き立てましょう」
「それには及ばぬ」
と云った時、ハタハタ、ハタハタと羽音がした。
「蝙蝠どもでございます」
「なるほど」
と云うと蓋を取る。
「あなたのお顔でございます」
「そうだ。昔の俺の顔だ!」
じっと覗き込んだ箱の中に、一個の仮面が浮き出している。飛び出した額、扁平の鼻、左右不揃いの釣り上がった眼、衣裳の裾のように脹れ上がり前歯を露出した上下の唇、左半面ベッタリと色変えている紫色の痣、醜く恐ろし気な人間の顔が箱の底から睨んでいる。
陶器師は見詰めている。食い入るように見詰めている。タラタラと額から汗が落ちる。歯の間から呻き声が短く鋭く洩れて出る。
ハタハタ、ハタハタと蝙蝠が二人の周囲を飛び廻わる。その羽風に灯火が揺れ、壁上の陰影が延び縮みする。そうして大河の音が聞こえる。
「月子殿」と陶器師は云った。「何んと恐ろしい顔ではないか」
「恐ろしいお顔でございます」
「何んと厭らしい顔ではないか」
「厭らしいお顔でございます」
「これでは女房も裏切る筈だ」