Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きどうむかしがたり

綺堂むかし語り

岡本 綺堂

Leggi 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 183.656 caratteri · 363 schermate

Aozora Bunko

この二人が「新聞記者雇苦力、十郎、五郎」と大きく書いた白布を胸に縫い付けているので、誰の眼にも着き易く、往来の兵士らが面白半分に「十郎、五郎」と呼ぶので、二人もいちいちその返事をするのに困っているようでした。苦力の曾我兄弟はまったく珍しかったかも知れません。

東京へ帰ってから聞きますと、伊井蓉峰の新派一座が中洲の真砂座で日露戦争の狂言を上演、曾我兄弟が苦力に姿をやつして満洲の戦地へ乗り込み、父の仇の露国将校を討ち取るという筋であったそうで、苦力の五郎十郎が暗合しているには驚きました。但し私たちの五郎十郎は正真正銘の苦力で、かたき討などという芝居はありませんでした。

*

「なにか旨い物が食いたいなあ。」

そんな贅沢を云っているのは、駐屯無事の時で、ひとたび戦闘が開始すると、飯どころの騒ぎでなく、時には唐蜀黍を焼いて食ったり、時には生玉子二個で一日の命を繋いだこともありました。沙河会戦中には、農家へはいって一椀の水を貰ったきりで、朝から晩まで飲まず食わずの日もありました。不眠不休の上に飲まず食わずで、よくも達者に駈け廻られたものだと思いますが、非常の場合にはおのずから非常の勇気が出るものです。