Classici giapponesi con furigana
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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Leggi 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 193.761 caratteri · 388 schermate
その店員は、首飾りが空中をただよいだしたとき、やっとそれに気がついた。そして、アッと言って、たちすくんだまま、しばらくは、身うごきもできなかった。
店員は、さいしょ、その首飾りが、目に見えぬほそい糸で、天井からつりさげられているのかと思った。しかし、シックイでかためて、白くぬった天井には、糸をさげて、あちこちと動かすような、すきまなんか、あるはずがない。
首飾りにたましいがはいって、ひとりで、動きだしたかと思うと、ゾーッと、こわくなってきた。しかし、勇気をだして、そのほうに近よって、手をのばすと、首飾りは、まるでしつこい魚のように、スーッ、スーッと逃げてしまう。
やがて、首飾りは空中に浮いたまま、少しずつ入り口のほうに近づき、アッというまに、店のそとへ出ていってしまった。店員は大声をあげて、おっかけた。店のそとにいた店員も、いっしょになって、さわぎたてた。支配人もおくからとびだしてきた。通りがかりの人も、あつまってきた。しかし、首飾りはもうどこにもなかった。百万円の宝石が、ひとりで店を出ていってしまったのだ。
すぐ、このことが警察に知らされた。係官が現場に行ってみたが、まるで夢のような話で、つかみどころがなかった。