Classici giapponesi con furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Leggi 青べか物語 (あおべかものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.961 caratteri · 317 schermate
赤貝はそれほど大きく、また、信じがたいほど数多く、掘れば掘るだけ出て来た。私はそれらをいちど青べかの中へ運び入れ、戻って来てまた掘った。するとこんどは蛤にぶっつかった。蛤もそれまでに見たことのないみごとなやつで、しかも粒が揃っていたし、掘る手を待ちかねていたかのように、ぞくぞくと転げ出て来た。
そのとき私は、満ち溢れる幸福感の中に一種の不安、不安というほどはっきりしたものではなく、人間が幸福すぎるときに感じる「これは現実のものだろうか」といったような、おちつかない気分が小指を動かすのを感じた。そうして、その気分を立証するかのように、一人の男が近よって来た。――それは逞しい男であった。ぼったと呼ばれる腰っきりの沖着の下から、古びた下帯を覗かせ、裸の太腿から脛へかけてびっしょり毛が生えているうえに、筋肉がこりこりと瘤をなしていた。陽にやけた顔もぶしょう髭が伸び、濃い眉毛の下の大きな眼は、いまにも私を覘って弾丸を発射する二つの銃口のようにみえた。
「なにをしてるだね」と男は云った。
私は答えて、砂上に掘り出してある蛤を指さした。男は蛤を見、私の顔を吟味するように見、それから蛤を見て、また吟味するように私を見た。