Classici giapponesi con furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Leggi 黄金仮面 (おうごんかめん) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 143.357 caratteri · 287 schermate
テーブルも、椅子も、立並ぶ仏像も、何一品微塵も位置を変えていない。無論一つとして紛失したものはない。
テーブルの上の細々した品物も元のままだ。リノリュウムの床は、昨日掃除をしたまま、拭った様に綺麗で、予期していた泥の足跡など一つも見当らぬ。
庭に面した窓を検べて見たけれど、何の痕跡もない。窓は内側から閉ったままだし、その外の庭は乾いていて、足跡を見分けることも出来ぬ。
「お前、夢を見たのではあるまいね」
雲山氏は、異様に青ざめた顔で、令嬢を振返った。
「不思議ですわ。いいえ、決して夢なんかじゃありません。確かにひどい物音が続いていたのです。でも、何も盗まれたものがなければ、幸ですわ。何が何だか、まるで狐につままれた様ですけど」
「何も盗まれたものはない。だが……」
「アラ、どうなさいましたの? お父さまの顔真青ですわ。何か分りましたの?」
令嬢が驚いて尋ねたのも無理ではない。老美術家は、盗まれなかったと分ると、却って青くなった。物凄く見開いた目、ワナワナと震える唇、絹枝さんは、嘗つて父親のこんな恐ろしい表情を見たことがなかった。
「絹枝、お前は可哀相な子だ。