후리가나로 읽는 일본 고전
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
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N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 119,451자 · 236화면
町に、囲われていたことは、お島も東京を立つ前から聴されていた。女がまだ商売をしている頃から、兄はその市へ来て、何も為ることなしに、宿屋にごろついていたり、居周の温泉場に遊んでいたりしているうちに、土地の遊人仲間にも顔を知られて、おりおり勝負事などに手を出していた。女が今の男に落籍されてから、彼は少ばかりの資本をもらって、縁のあったこのS――町へ来て、植木に身を入れることになったのであった。
昼頃に雨があがってから、お島は壮太郎に連れられて、つい二三町ほど隔っている大家の家へ遊びに往った。そこはこの町の唯一の精米所でもあり、金持でもあった。大きな門を入ると、水車仕掛の大きな精米所が、直にお島の目についた。話声が聴取れないほど、轟々いう音がそこから起っていた。
「この米が皆な鉱山へ入るんだぜ」
壮太郎は、お島をその入口まで連れていって、言って聴せた。白くなって働いている男達と、壮太郎は暫く無駄話をしていた。
主人は硝子戸のはまった、明い事務室で、椅子に腰かけて、青い巾の張られた大きな卓子に倚かかって、眼鏡をかけて、その日の新聞の相場づけに眼を通していたが、壮太郎の方へ笑顔を向けると、お島にも丁寧にお辞儀をした。