후리가나로 읽는 일본 고전
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
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N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 119,451자 · 236화면
五十七
庭の柿の幹に青蛙の啼声がきこえて、銀のような大粒の雨が遽に青々とした若葉に降りそそいだりした。午後三時頃の懶い眠に襲われて、日影の薄い部屋に、うつらうつらしていた頭脳が急にせいせいして来て、お島は手摺ぎわへ出て、美しい雨脚を眺めていた。圧しつけられていたような心が、跳あがるように目ざめて来た。
五十七
浜屋の主人が、二度ばかり逢いに来てくれた。
主人は来れば急度湯に入って、一晩泊って行くことにしていたが、お終に別れてから、物の二日とたたぬうちに、また遣って来た。東京から突如に出て来たお島の父親をつれて来たのであった。
お島はその時、貰い子の小娘を手かけに負って、裏の山畑をぶらぶらしながら、道端の花を摘んでやったりしていた。この町でも場末の汚い小家が、二三軒離れたところにあった。朝晩は東京の四月頃の陽気であったが、昼になると、急に真夏のような強い太陽の光熱が目や皮膚に沁通って仄かな草いきれが、鼻に通うのであった。一雨ごとに桑の若葉の緑が濃くなって行った。
「東京から御父さんが見えたから、ここへ連れて来たよ」
主人は或百姓家の庭の、藤棚の蔭にある溝池の縁にしゃがんで、子供に緋鯉を見せているお島の姿を見つけると、傍へ寄って来て私語いた。