후리가나로 읽는 일본 고전
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
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N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 119,451자 · 236화면
小父さんも折角来たもんだから、お酒の一口も飲まなければ満らないだろうし、阿母さんだって偶に出るんだからね」
おとらはそう言って、博多と琥珀の昼夜帯の間から紙入を取出すと、多分のお賽銭をお島の小さい蟇口に入れてくれた。そこは大師から一里も手前にある、ある町の料理屋であった。二人はその奥の、母屋から橋がかりになっている新築の座敷の方へ落着いてからお島を出してやった。
それは丁度初夏頃の陽気で、肥ったお島は長い野道を歩いて、脊筋が汗ばんでいた。顔にも汗がにじんで、白粉の剥げかかったのを、懐中から鏡を取出して、直したりした。山がかりになっている料理屋の庭には、躑躅が咲乱れて、泉水に大きな緋鯉が絵に描いたように浮いていた。始終働きづめでいるお島は、こんなところへ来て、偶に遊ぶのはそんなに悪い気持もしなかったが、落着のない青柳や養母の目色を候うと、何となく気がつまって居辛かった。そして小いおりから母親に媚びることを学ばされて、そんな事にのみ敏い心から、自然に故ら二人に甘えてみせたり、燥いでみせたりした。
「ええ、可ござんすとも」
お島は大きく頷いて、威勢よくそこを出ると、急いで大師の方へと歩き出した。