후리가나로 읽는 일본 고전
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
吉川 英治의 江戸三国志(えどさんごくし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 577,271자 · 1141화면
先の影は、すでに天守番長屋から銅塀のミネへ移って、本丸の大屋根へと必死によじ登っているのです。
「あれよ!」
思わず叫んだのは、望楼の上の吉宗と万太郎でした。
天地は暁闇。
遠い辰巳の海の境が、かすかに曙いろの一線をひいているばかり。
そこから見れば、目の下は、御本丸大奥から大本丸の表方まで、海のごとき甍の波です。万余の坪もあろうかと思われるこの大屋根、天下、ここより壮観な屋根というものはありますまい。
甍は露に濡れていて、徐々に白む暁闇の明りが、そこを、脱兎と駆ける一人の男をあざやかに見せている。
われを忘れた吉宗は、欄を打って側にいる松平源次郎に叱咤しました。
「助勢をよべ! 旗本どもを呼び返せッ」
しかし、ここに至って万太郎は、やや自分の立場を盛り返しました。彼は溜飲をさげつつそれをこう言って制したのです。
「あいや、あまりお騒ぎなさらぬ方が得策でしょう、かりそめにも天下の首城が、一盗賊に足痕を印された事さえ名誉ではありません。まして、あなたが大統をうけて以来日も浅いうちに、かようなことが華やかに世間の語り草となっては、新将軍のかなえの軽重を問わんとする者がないとも言えません。