후리가나로 읽는 일본 고전
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
吉川 英治의 宮本武蔵(一)(みやもとむさし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 231,525자 · 463화면
「あ、油坂のか」
と、すぐ分る。
そこは興福寺の天狗でも棲んでいそうな大きな杉林の西側にあたっていて、寧楽朝の世の盛りを偲ばせる元林院址とか、光明皇后が浴舎を建てて千人の垢を去りたもうた悲田院施薬院の址などもあるが、それも今は、苔と雑草の中からわずかに当時の石が顔を出しているに過ぎない。
油坂というのはこの辺りと聞いては来たが武蔵は、
「はて?」
と、見まわした。
寺院は幾軒も見て来たが、それらしい山門はない。宝蔵院という門札も見えない。
冬を越して、春を浴びて、一年中でいちばん黒ずんでいる杉のうえから、今が妙齢の采女のように明るくてやわらかい春日山の曲線がながれていて、足もとは夕方に近づいていたが、彼方の山の肩にはまだ陽が明るかった。
其処か、此処かと、寺らしい屋根を仰いでゆくうちに、
「お」
武蔵は足を止めた。
――だが、よく見ると、その門に書いてあるのは、甚だ宝蔵院と紛らわしい名で「奥蔵院」としてあるのである。頭字が一つ違っている。
それに山門から奥を覗くと日蓮宗の寺らしく見える。宝蔵院が日蓮宗の檀林であるということはかつて、武蔵も聞かない話であるから、これはやはり宝蔵院とは全く別な寺院に違いない――