일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

吉川 英治의 宮本武蔵(みやもとむさし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 185,809자 · 369화면

아오조라 문고

忌々しげに、彼は、藁の寝床を蹴とばした。買って来た薬も外へ打ち捨ててしまう。そして一日の行乞に胃は飢えぬいているのであったが、晩の食べ物を作りにかかる気力も失せたように、尺八を持って、

「あ、あ」

阿弥陀堂の縁へ出てゆく。

それからおよそ半刻ぐらいの間というもの、取り止めもなく、彼のふく尺八は、彼の煩悩を虚空へ遊ばせていた。人間の情慾は、墓場に入ってしまうまでは、形を変えても人体のどこかに、燐のように元素的な潜在をもっていることを、丹左のふく尺八は、虚空へ自白していた。

(どうせ、他の男性に、勝手にされてしまうあの娘の宿命なら、なにも自分だけが、姑息な道徳の通念にしばられて、一晩じゅう、寝ぐるしい思いなどしている必要はなかったのだ)

後悔に似たものだの、それを自分でいやしむ気持だの、雑多な感情が、帰着するところなく、血管のなかを、いたずらに駈けまわっているのが、いわゆる煩悩なのである。――丹左のふく尺八は、ひたすら、その感情の濁りから澄もうとする必死な反省であるらしいが、よくよく業のふかいこの男の生れ性とみえて、彼がむきになってかかる程には、その吹禅の竹は澄んで来なかった。