후리가나로 읽는 일본 고전
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
吉川 英治의 江戸三国志(えどさんごくし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 577,271자 · 1141화면
「ちッ、――さてはお蝶が……」
嫌疑はお蝶に走るよりほかはない。
まだ宵ですが、いつもそうする事なので、離れの雨戸を閉めきると、寝につくように見せかけて、中で忙しく身支度をすると、横の小窓から身をひるがえして、ひらりと裏木戸の外へ走り出し、お蝶のあとを追いました。
彼は、神田川の火除け地まで駆けると、脛のききそうな辻駕を拾って、
「切支丹坂の下までやってくれ」
酒代をハズんで一気に急がせ、例の獄門橋の藪だたみに身を隠して、お蝶の通るのを、待ち伏せている。
――と、知るか知らないか、やがて、あの急な暗やみを、ヒタヒタと小走りに降りてくる姿をすかしてみると、藺笠に振袖、まぎれもない色子姿のお蝶であります。
「待て!」――とその前へ、大手をひろげて立とうとしましたが日本左衛門は、今夜というこの機会に常に解せないでいる彼女の行動を突きとめてみる必要もあると考えて、その姿をやり過ごし、見え隠れに、お蝶の後を尾けました。
見ていると――かつて、自分が官庫に忍びいる時、足がかりにした見覚えのある塀際のムクの木から、その姿が苦もなく山屋敷の中へ飛び越える。
「あっ……あの高い塀を」