후리가나로 읽는 일본 고전
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
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N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 119,451자 · 236화면
鶴さんはそう言いながら、さも惜しいことをしたように、舌打ばかりしていた。
お島は錠をはずして、抽斗を二つ三つぬいて、そっちこっち持あげて覗いていたが、お島の目には、まだそれがじみすぎて、着てみたいと思うようなものは少かった。
「そんなに思いをかけてる人であるなら、みんなくれてお仕舞いなさいよ。その方がせいせいして、どんなに好いか知れやしない」お島は蓮葉に言って笑った。
「戯談じゃない。くれるくらいなら古着屋へ売っちまう」
左に右二人は初めて揃って、外へ出てみた。鶴さんは先へ立って、近所隣をさっさと小半町も歩いてから振顧ったが、お島はクレーム色のパラソルに面を隠して、長襦袢の裾をひらひらさせながら、足早に追ついて来た。外は漸くぽかぽかする風に、軽く砂がたって、いつの間にか芽ぐんで来た柳条が、たおやかにっていた。お島は何となく胸を唆られるようで、今までとは全然ちがった明い世間へ出て来たような歓喜を感じていたが、良人の心持がまだ底の底から汲取れぬような不安と哀愁とが、時々心を曇らせた。今まで人に恵んだり、助力を与えたりしたことは、養父母の非難を買ったほどであったが、矜と満足はあっても、心から愛しようと思おうとしたような人は、一人もなかった。