일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

吉川 英治의 宮本武蔵(みやもとむさし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 185,809자 · 369화면

아오조라 문고

もう武蔵の影は、どこにも見えないのであったが、彼女は、跳べない流れを見ると思わず、死に別れた者が間際にさけぶように、

「武蔵さまあっ」

――すると、それへ向って、

「おうっ」

と答えた者がある。

小舟の苫をばらばらと払い退けて、そこに突っ立ったお杉隠居であった。

お通は、なんの気なく、それへ振向くと共に、

「――きゃっ!」

顔をおおって逃げ走った。

隠居の白い髪が風に立った。

「お通阿女っ」

次のことばは、老婆の極度に揚げた息のために、声が挫げて、

「用があるッ、待たっしゃれっ」

つんざくように水へ響いた。

お杉隠居の邪推からこの場合の結果を判断すれば、こういう風にはなはだしく悪くとったかも知れない。

武蔵が自分へ苫をかぶせたのは、お通とここで逢曳きする約束があったからにちがいない。その上の痴話が何かにこじれて、武蔵が女を振切って去ったので、お通阿女は泣き声をしぼって男を呼び返しているのだろう。

(そうだ)

と咄嗟に、自分の思うことをこの老婆は、すぐ自分だけで事実としてしまう。

(憎い阿女)

武蔵以上の憎しみを、お杉はお通へ抱くのであった。

まだ約束だけで家にも入れないうちから、息子の嫁は自分の嫁のように思い、息子が嫌われたことは、自分が嫌われたことのように憤ったり、怨みに思う老婆だった。