후리가나로 읽는 일본 고전
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
吉川 英治의 宮本武蔵(一)(みやもとむさし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 231,525자 · 463화면
たまッたものではない、自分の女が、よその男の席へ出てかつて自分へしたような媚態をほかへ売っているのだ。夜も眠れない。昼も不安で外へ行く気も出ない。そしては悶々と、陽かげの部屋で、酒だ、酒である。
あんな年増女に!
彼は忌々しさを知っている。目前の醜いものを蹴とばして、大空へ青年の志望を伸ばすことが、せめて遅くとも、過誤の道をとり返す打開であることもわかっている。
だが……さてだ。
ふしぎな夜の魅惑がそれを引きとめる。どうした粘力だろう。あの女は魔か。――出て行けの、厄介者のと、癇だかく罵ったことばも、深夜になればそれは皆、悪戯ごとのようにあの女の快楽の蜜に変ってしまうのだ。四十に近い年になっても、娘の朱実に劣らない臙脂を紅々と溶かしている唇。
――それもある。また。
いざとなると、此処を出ても、お甲や朱実の目にふれるところで石担ぎをやる勇気も又八は持ち合せていない。こういう生活も五年となれば、彼の体にも怠けぐせが沁みこんでいることは勿論だった。肌に絹を着、灘酒と地酒の飲みわけがつくようになっては、宮本村の又八もはや、以前の質朴や剛毅さのあった土くさい青年とはちがう。