후리가나로 읽는 일본 고전
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
吉川 英治의 江戸三国志(えどさんごくし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 577,271자 · 1141화면
「よかろう!」と、相談のまとまった翌日です。一同はまた山かごにお蝶をのせて、信玄の隠し湯から木賊の奥にはいりました。
登りや渓谷にかかると、お蝶は時々かごを降りて、素直にあるいておりました。無理に隙をねらッて逃げようとする様子もさらに見えません。その運命のあるところによって、生命をたもつことだけを条件に、彼女は煩悶をしない女です。
もっとも、秦野屋という策士が、あとから一行にまじっていますから、どういう隙に、四ツ目屋や雲霧の目をぬすんで、お蝶にことばをかわしているか、その辺のことは察しかねます。
とにかく、山から山へ、幾日かの初秋の旅がつづきました。
「気楽だなあ、ええおい」
雲霧は、連れの者へ笠を向けて、
「天下の兇状もちが、こんなにお練りであるいていても、見るやつはなし、追いかけて来る犬もない。女のあるく道だけに、関所を設けて頑張っている役人なんてえやつは、まったくいつも居眠りばかりしている道理だよ」
「だが、中仙道へ出ると、まさか、こう気楽にはゆくまいぜ」
「そうさ」
と、四ツ目屋は、お蝶のかごへ目をやって、
「第一、あいつに油断がならなくなる」
聞こえたでしょうが、お蝶は横を向いて笑っていました。