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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
おふくろは同情して、四郎の上に何かつけましょうかと、おやじに言ったものだが、
「シロでいい」
とおやじは一言の下にしりぞけた。
俺の下に女の子でも生れたら、おやじは三子とでも名づけるつもりだったのだろうか。女は生れなかった。
妹がもしいたら、年ごろになっても「要視察人」の俺のためにどこへもお嫁に行けないと、妹をさぞかし歎かせたことだろう。おやじの商売にも当座はひどくひびいて、あんな奴は勘当ですと、おやじは問屋や取引筋を回って、詫びて歩いたという。なかには、
「ああいうのを鬼子と言うんだろうね。加柴さんも飛んだ災難だね」
と逆におやじを慰めてくれる人もあったそうだ。それほど異常な犯罪と見られたのだ。
俺は中学へやって貰ったが、長男の五郎は小学校どまりで、おやじに手を引っ張られて、鋳物場へ立たされた。おやじの商売をつぐため、いや、つがされるために、おやじと一緒に工場で働かされた。子供のときから仕込んでおかないと、腕のいい鋳物師にはなれないというのがおやじの意見で、なまじ上の学校へやると、この商売をいやがるからという気持もあったようだ。
鋳物の本場の川口で修業してきたおやじは「砂むぐり」