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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

その六 豚箱の羅漢

軍は兵隊を持っているが、俺たちは民衆を持っている。兵隊だって民衆だ。そうなると、どっちが勝つか。さ、丸さん、やろうぜ」

その六 豚箱の羅漢

昭和六年十月十七日――蹶起はこの神嘗祭の日を期して行われることになった。

この日、霞ヶ浦航空隊から爆撃機十数機、下志津航空隊からは数機が、陸上の蹶起部隊を応援するために出動する予定だった。事の次第では、威嚇の爆弾投下を「実施」(当時の軍隊用語)して、地上部隊を掩護しようというのである。

今度の計画は、三月事件とちがって、これほど大がかりなものだった。北槻中尉らは手をひいたが、そのかわりに横須賀鎮守府の海軍将校の一団も計画に加わっていた。しかし主力はもちろん陸軍将校のひきいる歩兵連隊の何大隊かだった。

俺は丸万と、俺たちのほうの暴動計画の打ちあわせをした。市内の要所に放火するだけではない。変電所なども俺たちの手でおさえようというのだ。軍隊の手によって行われる襲撃とは別に、市内に大混乱をひきおこすことが必要である。変電所占領もそのための手段である。蹶起軍のほうでは計画にいれてない放送局の占領をどういうふうにするか。