轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

俺を路地へ引っ張って行って、

「何か用か」

「いいや、ちょっと遊びに来たんだ」

「奥で待ってなよ」

うーんと俺は生返事をした。おやじの後妻に会うのは、うっとうしい気持だった。

「四郎はまだカタギにならないのか」

「カタギ?」

「嫁でも貰って、早く身を固めちゃ、どうだ」

そう言う兄貴だって「部屋住み」のため女房を持ってない。だから俺は、俺も結婚したいと思った女がいたんだがと、口に出して言うのは憚られて、心のなかでそう言ったとき、

「せんだって女が四郎を訪ねてきたぜ」

モダン・ガールだったと兄貴は言って、

「お前の居所を知らせてくれって……」

照子だなと俺は思った。照子は俺に会いたくて、ここまで来たのか。千駄木の方は、ただ下宿屋だと言っただけだったから、見当がつかないので、四の橋の鋳物工場を探して、わざわざここへ来たのか。

「それで……?」

「知らせていいもんかどうか、分んないから、ごまかしといた。知らせていいんなら、今度訪ねて来たとき、教えておく」

と兄貴は親切に言ってくれたが、俺は、もう駄目だ、もう来ないだろうと思った。照子は俺に会いたがっていたのかと、その心を知った今、照子とはもう会えないだろうと、なぜかはっきりとそれを俺は感じた。