轻松读懂日语经典作品
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
ロシアだってテロリストの究極の敵はツァーだったんだ」
「いや、ツァーの国とはちがうからな。そろそろ、なまずが煮えたぜ」
小皿に自分がさきに取って、
「ロシアのテロリストと言えば、ゲルシュニの話を斎田さんはしなかったか」
「俺が聞いたのは、もっぱら支那革命の話だ。ゲルシュニと斎田さんと、どんな関係があるんだ」
ゲルシュニはロシアのテロリストの偉大な指導者である。捕えられてシベリアに送られ、終身懲役の刑で監獄に幽閉された彼は、キャベツ樽に身をひそませて、脱獄に成功した。その大胆不敵は俺たちの亀鑑とされていた。
「斎田さんはゲルシュニに会ってるんだ」
事もなげに砂馬が言うのに、え? と俺はテコボク(箸)からなまずを取り落しそうになった。
「俺も斎田さんからその話を聞いたときは、たまげたな」
脱獄したゲルシュニはウラジオストークへ逃げのびて、そこで船に乗って日本へ潜入し、そしてアメリカへ渡った。
「ゲルシュニが日本へ来たときは、孫文もちょうど日本にいて、この二人を梶川悲堂なんかがこっそり会わせたんだ。そのとき、あの慷堂先生も一緒だったんだ」
砂馬はそれまで斎田さんと言っていたのを慷堂先生と呼んだが、それが今は不自然でなく聞えた。