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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

と言っていた。けっきょくその言う通りになったのは俺としてちょっと癪だったけれど、俺は俺なりの革命の意図を抱きながら、彼らと交わっているのだという肚だった。主義者とうしろ指をさされ、時にはリャク屋と罵られた俺が今では国士と呼ばれ、愛国の志士と見られることになった。慷堂や北槻中尉たちのいわゆる国家改造案を、俺はそのまま呑んだわけではない。彼らにはボル派のような画一的な思想を強要するところがないのは便利だった。

ボル派はひどい弾圧をうけていた。セツルで会ったあの大学生崩れも地下にもぐったという話を人づてに聞いた。

ボル派ともとはひと口にそう言っていたが、今はそれが共産主義者と社会民主主義者とにわかれていて、弾圧を食っていたのはその共産派のほうだった。社会民主主義者は無産政党のボスにおさまっていた。

三・一五、四・一六と毎年つづいて、大量検挙のあったその翌年のメーデーは葬式行列と嘲笑されるほどのみじめさだった。メーデー参加の一万五千の労働者に対して一万二千の警官が動員された。こんな状態では、労働者を組織して革命をおこすなどということは、夢みたいな話だった。