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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

女の前ではやはり虫を殺していたのだ。ナカ(吉原)へ行こうと砂馬は言った。

「女郎なら文句は言わねえ」

――この俺たちは死にぞこないのテロリストなのだった。俺たちといっては、砂馬が何を生意気なと、俺に眼をむくだろう。砂馬は俺のことを子分だと思っている。リャク屋としては、そうにちがいないが、テロリスト時代は俺たちは同志だった。俺がテロリストの仲間にはいったのは、砂馬を知ったためだが、砂馬の子分になったわけではない。年こそ若いが、俺だって、いっぱしのテロリストだった。

テロリストとして俺たちが死にぞこなったのは、三年前のことだ。テロリストの一派が(この辺のことはいずれあとで語らねばならない)ピストルで福井大将を狙撃した。その一派はつかまって死刑になった。俺たちが死にぞこなったというのは、これである。

俺たちは爆弾でやっつける計画を立てていたのだ。その威力をためすためにペンキ(共同便所)を爆破したりした。その爆破事件も狙撃一派の仕業ということになって――というより彼らがそうした余罪全部をひっかぶって、そして俺たちに沈黙を命じて死んで行った。俺たちがハッパ(ダイナマイト)を作っていたことは幸いばれなかった。