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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
優越感のゆえの同情か。
「どこへ行く」
「京城……」
むっとした口調で言ったのはこの場合、俺は日本人だという気持からではない。こういう相手には強く出たほうがいいと、度胸をきめたのだ。
「なにしに行く?」
問われて俺はすぐ答えた。
「公用……」
前々から準備しておいた科白である。と言って、俺はまさか、こんな場所で、ちょっと来いとやられるとは思ってなかった。
「公用……?」
相手の表情に、あるかげがさしたが、なにをこの若僧がといった声で、
「どういう公用だ」
「こんなところでは言えんな」
若僧であるだけに、俺は慷堂を真似た背のびした口調で言った。俺は単なるテロリストではなく、背後に軍がひかえているという意識があって、それが口調にも出ていた。
「言えん……?」
相手は眼をむいた。俺はさも曰くありげな虚勢を張って、わざと低い声で、
「軍の公用……」
「軍……?」
相手がひるんだと見て、すかさず俺は、
「あんた、憲兵か?」
私服の憲兵かと聞いたのは、相手を憲兵ではないとふんでいたからで、軍には弱い警察だと俺はうわ手に出てやった。
これはちょっとやりすぎで、まずかった。相手はカチンと来たらしく、