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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
と言うより、ボルの奴らが植民地解放なんてほざくのに、むしろ反感を持っていた俺なのだ。そういう俺は、朝鮮をふくめた日本全体の革命ということを漠然と考えていたのだ。つまり朝鮮は日本の一部だとはじめからそうきめていた。
その俺も京城に行くと、朝鮮は日本の一部というより、やはり日本の植民地だと、ことごとにそう感じさせられる現象と事態を、いやでも眼にしたが、俺の心は、さてこの京城でどうしたら尾垣大将を狙撃できるかということでいっぱいだった。
俺は京城のいわゆる内地人町の、たしか明治町と言ったと思うが、その何丁目だかの、商人宿といった感じのお粗末な日本宿にはいった。これはあらかじめ北槻中尉から、ここがいいと聞いてきたコハタ(ハタゴ屋)である。中尉も京城の第二十師団司令部に赴任した同期の将校から、ここなら長期滞留になっても安くていいだろうと聞いたのである。
俺はさっそく総督府庁を見に行ったが、いやどうもその立派さには、慶尚北道あたりのお上りさん(みたいなのが俺のそばにいたが)と同じように俺も眼を丸めた。日本の権力を威圧的に示そうとしている立派さだ。もっともその威容は、周囲が宏壮なせいもあるが、ここは朝鮮王朝の昔の王宮のあったところだから宏壮なのは当然である。