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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

やり手婆あが俺たちを「引き付け」に導いた。名ざしであがったのではないこのフリの客に、やり手婆あは、あいかたさんはどういう子がいいかと聞いた。注文をおっしゃって下さいと言う。

「年増をひとり。それにこの友だちに、若い子をひとり。それからあと二人呼んでくれ」

「四人ですか?」

「五人だっていいよ」

「今はみんな、忙しいんで、二人にして下さいな。気に入らなかったら、そう言って貰えば、ほかの子をまた回します」

「四人買うんだ。誰かのホンベヤで、みんな一緒に寝るんだ」

砂馬は高圧的に言った。面白い遊びがしたいのだと言うと、

「それは旦那、いけませんね」

「いけないことはないだろう。それだけのことはするぜ」

と砂馬は内ポケットを叩いてみせた。そこには破廉恥なリャクでせしめた意外な大金がはいっている。それを砂馬は破廉恥な遊びで費消したかったのだろうか。

「困りましたねえ」

やり手も胸に手をやって、えり元をかき合わせるようにして、世なれた口調で、

「それは、旦那、困りますねえ」

「困るって、誰が困る? お前さんが困るのか」

「わたしが困るんでしたら、わたしひとりが困る分なら、かまいませんがね」