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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

「二人一組というと?」

「そこへ行くと女が十人ばかり出てきて、ずらっと並んだなかから、すっ裸にしたい女を、こっちで二人選ぶんだ。その二人が別室で裸踊りをやって見せる……」

こうした砂馬の話しぶりは、満州でてんで苦労はしなかったみたいだが、苦労話は避けているとも見られる。

「踊りがすむと、案内のロシア人がジョロカイ五円と言やがった。ジョロカイと日本語で言う。裸踊りの女は淫売もしてるんだ。見るのは十五円で、寝るのは五円、寝るほうが安いのはおかしいが、裸踊りとコミになっていて合計二十円ということらしい」

「二人一組のジョロカイか」

「それはひとりだよ」

「どんなあんばいだった?」

その俺を睨みつけるようにして砂馬は、寝なかったと言う。

「ウソつけ!」

「ほんとさ。あんまり露骨な裸踊りを見たら、なんだか胸が悪くなって、いやンなっちゃった。それにジョロカイ五円と言ったって、いざとなるとまたふんだくられそうだし、そんなに金はないから……」

「それにしたって、よくそんな金が……」

あったもんだと俺はあきれた。

「金は、あっちにいると、自然にはいってくる。リャクをしなくたって、金に不自由はしない。