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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
青年将校らの科白だと、政治の腐敗を一掃するために、これも仕方がない、ほんとは好ましくない非常手段なのだがと言うけれど、俺には実に好ましい正当手段なのだ。望ましい報復方法なのだ。地面をはいずって働いている百姓は食うや食わず、工場で油にまみれて働いている労働者はボロをさげているのに、資本家どもは暖衣飽食、みずからの額に汗することなく、自分の手を土や油でよごすことなく、金をざくざく、金だけしこたませしめている。こんな無法があっていいのか。こんな無法には、一見無法の方法で報いるのが当然のことなのだ。多年の無法に対して、一回の無法だけがどうして無法だというのか。
無法を擁護している政治は否定せねばならぬ。こんな矛盾した社会は顛覆させねばならぬ。暴動をおこして、人民の膏血をしぼっている奴らをハエのようにたたきつぶさねばならぬ。奴らと同じ穴のムジナである政治家なども一刀両断で抹殺せねばならぬ。
いや、こんな理窟はどうでも、俺は暴動に、殺戮に、流血に魅力を感じていたのだ。理窟抜きに、俺は血に飢えていたのである。
警視庁も襲撃するのだが、人民のためのこの蹶起に対してもしも抵抗してきたら、ただちに機関銃をぶっ放して実力で占領しようという計画である。