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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
のだというだけのことではなく、この俺はたとえ文無しの若僧でも、その気になったら、クララの身うけぐらいできないことはない人間だと思っていたからだ。
クララの借金は、はっきりしたことは分らなかったが、五百円ほどだった。身うけとなると、ここの婆あが――クララの言う「おかあさん」が、なんだかんだとふっかけてくるだろうが、クララはここに身売りしてからそんなに日も経ってないことゆえ、衣裳代がどうのこうのといった文句はそうつけられないはずだし、俺だって、そうつけさせはしないつもりだ。それにしても、借金の五百円だけではすまないかもしれないが、
「リャクをやれば、そのくらいの金は……」
できないこともないと俺は口に出してつぶやいた。俺自身に俺は言った。
「思い切って、大口のリャクをやるか」
ほんとはリャクを俺自身はあまり好ましいことではないとしていたのだ。砂馬の子分扱いされることを俺が好まなかったのも、そのせいである。
このリャクというのは、たとえば街の愚連隊の言うハイダシをかける(これは小口で、チンピラのやることだが)――これとも似ているけど、もうちょっと大口の、ヤクザ仲間で言う「カツ」