轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
寂しさから免れなかった。しかし手紙の末尾で慷堂は、もしも俺が上京するようなことがあったら、ぜひ訪ねてくるようにと書いていた。
町は冬眠期にはいった。大きな腹を突き出した波子は、肩で息をしながら、家のなかでのそのそと働いていた。「渡り鳥」たちはすでに故郷に帰っていた。
年が改まって、「渡り鳥」がふたたびここへ出稼ぎにやってくるその直前に、波子は女の子を生んだ。男の子でなかったことを波子は俺に詫びた。
「ごめんなさい」
「なに言ってんだい。これは――なに言ってんのよは、波子のおハコだな」
「ごめんなさい」
おハコのその口ぐせを、波子は妊娠のせいだったのだと言って、またしても俺に詫びた。
気落ちしたみたいに波子はすっかり弱気になった。波子がおとなしくなったことは、俺を喜ばせないでむしろ妙に不安な感じで、
「いいってことよ」
どなりつけるように言った。すると、波子はいきなりぽろぽろと涙をこぼした。豆粒のような大きな涙だった。
「泣く奴があるか」
「うれしくて泣いてんのよ」
波子の横に寝かされた赤ん坊が、このときまるでその母親の波子を俺がいじめたみたいに急にオフギャーオフギャーと泣き出した。