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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
上級将校と連絡を取ると、三月事件、十月事件の例を見ても分るように、計画が駄目になる恐れがあるとして、北槻大尉らは自分たち青年将校だけで事をおこしたのだ。
蹶起だけが目的で、そのあとどうするか、どうなるか、それは何も考えてないようだった。まるで無計画な蹶起とも取れる。
「もっと積極的に動いたら、どうです」
そう言う俺だって、何もこの際、こうしたらどうかといった献策を持って来たわけではない。大尉に会いに来たのは、この蹶起に遅ればせながら馳せ参じて、どうしようこうしようといった肚からではない。このクーデターに俺もあやかろうといった野望があったわけではない。しかしそれにしても、大尉らの潔癖と言うか、純真と言うか、それが俺には歯がゆかった。解決を他人まかせにするのは無責任とも言える。
重臣の暗殺は、蹶起の目的ではなく国内改革のための手段だったはずだが、これではまるでその手段が目的だったみたいだ。目的は国内改革にあることを明らかにするためにも、当然、事態の具体的な収拾に乗り出すべきだ。それを政治の名の下に敬遠するのはどんなものか。国内改革の悲願からすると、政治を避けてはならないのではないか。