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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

腕組みをしたまま俺はチョッキの裏に手を入れてピストルをつかんだ。モサ(腹)立った俺は、矢萩のかわりにこの四・五・六を殺したくなった。爆竹が鳴るまで待っちゃいられない。

「言わせておけば、この野郎……」

四・五・六じゃなくて老三老四(生意気)だ――と中国語を知っていたらそう罵ってやりたいところだった。俺はひょいと身体をかえして、四・五・六がピストルを持った手を左手でたたくと同時に、右手のピストルを奴の胸倉に突きつけた。

ピストルはやけに大きな音を立てた。俺はその音で俺が引金をひいたのを知った。四・五・六はまるでふざけているみたいに、ぴょんと飛び上ってうしろにのけぞった。と見ると、急に胸を前にこごめ、エビみたいな恰好で床にどさりと倒れた。

近くで女の悲鳴があがり、それが合図のようにバンドが演奏をやめた。客が総立ちになった。

「漢奸!」

と俺は叫んだ。とっさの思いつきだ。

さっと波がひくように俺の周囲から人が逃げた。と思ったらすぐまた、わっと殺到してきた。それを防ぐように、二人の中国人が俺の前に立ちはだかった。どこから飛び出して来たのか、思いがけない援軍――(とは俺のそのときの実感だが)その中国人のひとりが俺に、