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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
とってもかなわないといった感じだった。
(なにクソ!)
負けるもんか。負けてたまるか。よーし、こうなったら、照子も――ことのついでに、殺してやろうか。
ことのついでに? 俺がこの部屋に来たのは、何も矢萩を殺そうと思ってのことではない。初めからそのつもりで、照子のこの部屋へ来たわけではない。俺は照子を――照子のあの断乎たるものを粉砕してやりたいと思ってここへ来たのだ。
照子を殺すほうがほんとうかもしれぬ。俺は前に、照子を殺すかもしれぬと暗にそう言っていた。照子を殺すかわりに、俺は矢萩を殺したのだとも言える。
(よし、照子も一緒に殺してやる)
照子がチョッキを持ってこの部屋を出て行ったのは俺に矢萩を殺させようとしたのだとも思える。矢萩のチョッキに照子が手をかけて破いたのも、そうして矢萩がピストルをテーブルに置かざるをえないようにしたのも、みんな照子の計略とも思われる。照子のために俺は矢萩を殺したみたいだ。
爆竹がまた鳴った。
(よーし、来た)
ピストルを持った手を、おもむろにあげて、
「あの爆竹は、照ちゃんがわざと……?」
「そうよ」
照子は俺のピストルを指さして、