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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
入れていた。日本軍の徐州攻略の戦力を弱めるため、兵隊を後方にクギづけにしようとゲリラ戦を展開していた。
そのゲリラ討伐を見て、やがてはじまる徐州作戦に従軍しようというのが、風巻の目的だった。ゲリラが出没する地帯へ俺たちは軍の貨車に便乗して行った。
その中途の懐徳で、俺は意外な人物に会った。それはトロゲンのおいらんだったあの若紫だ。畳屋にひかされたはずなのに、ピー屋の「ママさん」をやっていた。百成綾子が金儲けにやりたいと言っていたあのピー屋だ。
娘子軍をひきつれて若紫は、陥ちたばかりの町へすぐさま乗りこんで行ったのだ。その若紫に会ったのは、俺がピーを買いに行ったからだが、そこんところをちょっと言うと――。
前線のピー屋は慰安所と呼ばれていた。その慰安所には、兵隊用と将校用の二種あった。兵站宿舎に泊るときの格づけとして、奏任官待遇を与えられていた従軍記者の風巻は(軍も新聞には弱く、若い風巻にも従軍記者というので奏任官の特別待遇を与えていたのだ)将校用ピー屋へ行けるのだが、連絡員の俺にはその資格がない。その俺につきあって、風巻も兵隊用ピー屋にすると言った。