轻松读懂日语经典作品
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
と丸万は浮かぬ顔だった。
「コウモリは、ああして取るんだ」
「ふーん」
無理に納得させられた顔だった。
「ああして、よく取ったもんだ」
と俺は言ったが、ほんとは、取ったことはない。取ったことはないが、少年のころの俺は道に捨てられたわら草履や牛のわらじをひろって、コウモリの飛んでいる夕暮の空によく投げたものだ。そうすると、わらじと一緒に、コウモリが降りてくる。田舎の話ではない。東京も昔は、周辺の百姓が野菜を積んだ車を牛に曳かせているのを、たえず街で見かけたもので、その牛のわらじが道によく捨ててあった。
二人がかりでやらないと、コウモリは取れない。一人は、空に何か投げあげてコウモリをおびきよせる係りで、他の一人がセミ取りの、袋のついた竹竿を持っていて、地上に降りてきたコウモリに素早く袋をかぶせるのだ。
なかなか取れないが、取れることは取れる。しかし取ったところで、なんにもならない。鳥みたいにカゴで飼うというわけにいかない。カゴに入れても、コウモリはウソみたいに小さく縮まっていて、やがてそのまま死んでしまう。
俺はそれが可哀そうで、コウモリを取らなかったんじゃなくて、いつもひとりでただコウモリをからかっていたのだ。