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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
恥知らずになるために、みずからをそうして鍛錬しているかのようだった。破廉恥をみずからのうちに養成するために、そうして醜態をさらけ出しているかのようだった。
今は注射や呑み薬でたちまち、けろりとなおってしまうのだろうが、昔はこういう醜態をさらしに、まるでそのためのように、毎日通いつづけねばならなかった。
ウミは間もなくとまって、ウミの出ている間は濁っていた小便も、だんだん澄んでくるようになったが、どのくらい澄んだかを毎日しらべられる。これもまた、工合の悪いものだった。殺菌液の注入の前に、コップに小便を取るのだが、これもその場で、部屋の隅でやるのである。
立小便ふうにやるのだが、立小便には立小便の場所がおのずとあるものだ。感覚的にそういう場所を自分で選ぶのであって、衆人環視の部屋のなかで強制的にやらされるんでは、どうも――たとえヨシコは人の眼から隠していても、そのヨシコのさきにコップを当てがって、小便をするんでは、フンづまりじゃないが小便づまりみたいになって、出るものも出ない。
乱暴なことは随分思い切ってしてきた俺でも、乱暴をするという意識でなく、おとなしくコップに小便をする、この工合の悪さは格別だった。