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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
あのころの大杉君は、ちょうど君ぐらいの年だった」
と慷堂は私に言った。
「赤旗事件の前ですね」
と砂馬は言った。
明治四十一年六月、神田錦輝館で同志の出獄歓迎会を開こうとして、それが解散命令を食ったため、赤旗を街頭にひるがえしてデモをした。これが「赤旗事件」で、その前に、同じ年の一月に「屋上演説事件」というのがあった。幸徳秋水派の金曜会講演会が官憲のため、中止解散を命じられたとき、会場から追い出された人々が革命歌を合唱しつつ、街頭に集合した。その屋外の群集に対して、堺枯川や大杉栄たちが二階から演説したため、これが「屋上演説事件」として起訴された。
「張継君もその屋上演説事件の現場で、いったん、つかまったが、仲間の支那人が奪い返してくれた。それで京都へ逃げたのだが、そこでつかまって、日本を追われることになったのだ。京都へ逃げるときにすでに国外追放を覚悟していたのだろう、わしたちにラファエットたれと言った」
「ラファエット?」
「フランスの将軍で革命家さ。フランスからアメリカに渡って、アメリカの独立革命に大いに尽力した人物だ。本国へ帰ると、ラファエットはアメリカですでに試験ずみの方法でフランスの革命を指導した。