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イデオロギーがいろん

イデオロギー概論

戸坂 潤

第四章 文化社会学の批判「文化社会学」同文館、1932(昭和7)年4月5日<br>第五章 知識社会学の批判「思想 第101~103号」1930(昭和5)年7月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,000 字 · 316 页

青空文庫

――困難を解くものは、要するにここでも亦弁証法でなければならないことが判る。

現代物理学はその問題の客観的な進歩にも拘らず、ブルジョア哲学の諸範疇――機械論・又形而上学――を棄てることが出来ないばかりに、その根本概念――因果的必然性――を困難に陥れて了っている、それを救うものは今やマルクス主義哲学の諸範疇――弁証法――の外にはないだろう。吾々はそういう結論に到着する。――でここまで来れば、物理学に於けるイデオロギー性の内容は、もはや疑う余地があるまい*。

* 以上の点に就いての多少細かい説明を拙稿「自然科学とイデオロギー」(『知識社会学』――同文館)〔本全集第三巻所収〕で与えた。

物理学に於ける決定論と不決定論との対立に比較すべきものは、生物学に於ける「機械論」と「生気説」との対立である。――前者における無機的物質現象の代りに、ここでは生命の現象を置き替えれば好い。そうすれば不決定論はやがて生気説に相当するものになるのである。なお機械論は両者を通じて殆んど同一のものだと見て好い。

素朴な生気説は機械的必然性の外に、之と独立な、又は之を或る程度だけ犯すことを許される、独自の力――生命力――を仮定する。