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イデオロギーがいろん
イデオロギー概論
戸坂 潤
第四章 文化社会学の批判「文化社会学」同文館、1932(昭和7)年4月5日<br>第五章 知識社会学の批判「思想 第101~103号」1930(昭和5)年7月28日
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この仮定は併しながら、丁度物理学に於ける不決定論による偶然性や自由の導入の場合に人々が想像したと同じに、物理的化学的認識の統一――それは機械論的因果必然性によって完全に支配されねばならないと従来考えられて来た――を破壊することをしか意味しない。生命力は、因果関係の外に、恰も之と逆行する処の目的論を導き入れる。目的論も丁度吾々の意識的行為がそうであるように、因果律を用いるのではあるが、結果を予見することによって初めて原因を選択するのであるから、因果そのものの逆行でしかない。(機械的)因果と目的論とは絶体的に対立する。処がそれが、生気説によれば同時に生命現象の説明原理でなければならないのである。
だが機械論者の云うように、生命現象であっても一つの自然現象である以上、物理的化学的説明を与え得なければならないと云うのも尤もであるし、又之に反して生気論者が主張するように、生命現象は到底単なる物理的化学的現象に還元出来そうにもないというのも亦事実のように見える。二つの主張はそこで何とか調停されなければならない。
新生気説はこの調停を目指して現われる。H・ドリーシュによれば、生物即ち有機体が他の無機体と異る点は、それが因果系列の上で・構造の上で・又機能の上で、調和性を有ち、且つ調整の能力を持っているということにある。