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イデオロギーがいろん
イデオロギー概論
戸坂 潤
第四章 文化社会学の批判「文化社会学」同文館、1932(昭和7)年4月5日<br>第五章 知識社会学の批判「思想 第101~103号」1930(昭和5)年7月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,000 字 · 316 页
さてこの社会に於ける生産諸関係が決定要因となって、この決定要因によって決定されるものを唯物史観乃至マルクス主義は広くイデオロギーと呼ぶ。蓋し社会の全構築の基底をなすもの――下部構造――が生産諸関係であり、それの上に依って立つ構築物――上部構造――がイデオロギーだ、と一般的にまず規定しておいてよい。
処で社会の全構築に於て、今基底にあると云ったものは、単にマルクス主義に依ってばかりではなく、何かの意味で物質的なものと考えられているだろう。仮に之までをもなお心的・観念的・意識的なものと考えてみても、この下部構造と上部構造とを区別するものとして、この下部構造に於ける意識(一般的に之を代表者として)の物質的特色を指摘しなくてはなるまい。例えば衝動や本能(M・シェーラーやマクドゥーガル)は、これに基く精神的なものに対して、物質的と考えられている。――で下部構造がそうだとすれば、上部構造は、何か心的・観念的な性質によって特色づけられるのが当然である。だから人々は、この上部構造を捉えて、社会の「精神史」を描いたり、「文化史」や「文明史」を書こうとするのである。