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イデオロギーがいろん

イデオロギー概論

戸坂 潤

第四章 文化社会学の批判「文化社会学」同文館、1932(昭和7)年4月5日<br>第五章 知識社会学の批判「思想 第101~103号」1930(昭和5)年7月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,000 字 · 316 页

青空文庫

相当していなければならなかったから、本来或る意味で唯物論的な――尤もフランス風の機械論的唯物論にぞくするのであるが――出発を有っていたこのイデオロジーも、おのずからその特色を変更せざるを得なくなってきた。メヌ・ド・ビランは人間学の歴史に於ける最も重大な結節点の一つであり、人間の内面的・内部的・条件を取り扱かうことを主眼としたが、こうした内部的人間学が、その思想の連りを今云ったイデオローグから引いていたことを忘れてはならぬ。

イデオロジーはだから云わばフランス唯物論とフランス観念論――例えば所謂モーラリスト(之はモンテーニュから始まる)の如き――との中間に位する(実はすでにデカルトに於てそうであったのであるが)。之は十八世紀のフランス唯物論を標準にして云えば、その副産物又は副作用と考えられるだろう。吾々はこれを「フランス・イデオロギー」と呼ぶことが出来る。

併しイデオロジーは、それが問題の出発点を――従ってその到着点をも――観念(乃至意識)の研究に限定して了ったから、その解決は、当然或る意味に於て観念的とならざるを得なかったのは、自然の勢だろう。ここではもはや事物は現実的な・着実な・説明を期待することが出来なくなる。