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イデオロギーがいろん

イデオロギー概論

戸坂 潤

第四章 文化社会学の批判「文化社会学」同文館、1932(昭和7)年4月5日<br>第五章 知識社会学の批判「思想 第101~103号」1930(昭和5)年7月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,000 字 · 316 页

青空文庫

でコルナイに従えば、例えばプロレタリア・イデオロギーもこのようなオイディプス錯綜に基づく。プロレタリアは土地から引き離されているために土地に還ることを欲求している――土地錯綜。そして土地は大地たる母(Mutter-Erde)、オイディプスの母、の象徴に他ならない、というのである。コルナイのフロイト主義的イデオロギー論によれば、一切の歴史的現象は誠に珍奇な説明を見出す。フランス革命は市民たるインテリゲンチャが大地たる母へ還ろうとする運動であり、それであればこそ農民が中心とならねばならなかった。農民は無論母との姦淫を欲していたわけである。マルクス主義はブルジョアによって搾取されそうに思う被害妄想であり、プロレタリアによる人類の救済は一つの宗教妄想に他ならない。弁証法と雖も妄想狂の所産であることを免れない。万国のプロレタリアの結束は、オイディプス錯綜から来る男同志のエロティシズムだと宣告される。――云うまでもなくこの種のものは、フロイト主義的イデオロギー論乃至フロイト主義的社会理論のカリカチュアであろう。そして之は必ずしもフロイト自身の責任ではないかも知れない。